〇従来カチオン重合でしか合成できなかったビニルエーテルのラジカル重合を達成し,その重合をRAFT機構により精密にラジカル重合できるようにもしました。これらは温度応答性高分子,微粒子へと応用されています。
Macromolecules 49, 1563-1574 (2016)
特許第5936184号
Macromolecules 50, 8346-8356 (2017)
Macromolecules 51, 1260-1271 (2018)
J. Am. Chem. Soc.2019,141(35),13954-13961
○ HCl·Et2Oによるビニルエーテル類ンのメタルフリーリビングカチオン重合を2008年に見いだしました。予想される重合機構は下記の通りです。本重合系はその後拡張され,金属ルイス酸を使用せず,工業的に利用可能な新たな方法へと現在展開しています。
○ カチオン重合で生成するポリビニルエーテル類とRAFTラジカル重合を組み合わせた重合系によって,種々のマクロ連鎖移動剤・ブロックコポリマーの合成が可能になりました。上述のメタルフリーリビングカチオン重合を利用しても,極性変換により,様々な新しいブロックコポリマーが合成できるようになっています。
○ さらに,RAFTカチオン重合により,新しくRAFT基を末端に導入することができるようになりました。HCl·Et2Oによるメタルフリーカチオン重合は,RAFT機構と組み合わせた組み合わせたメタルフリーRAFTカチオン重合(MRCP)と名付け,ビニルエーテル類,アルコキシスチレン類に適用されています。
Macromolecules 48, 5120 (2015),Polymer Chemistry 7, 6854 (2016)
○ 低分子界面活性剤の自己組織体は動的であり,濃度や温度に依存し容易に形態を変化する。この変化を低分子から逐次組織化し反応する精密重合技術に適用し、形状やそのサイズを直接制御できる選択的ナノ組織化直接水系/有機系重合法を検討しています。現在までに,水系では重合度だけでなく,重合時の固体濃度や添加物等で組織形状を制御することができています。例えば,sphere, worm(右下図), troid, vesicle, lumpy rod等の形状です。ここから,新規ナノ分子材料の構築を目指しています。近年は,油系でもこのような組織形成が可能になっています。
J. Am. Chem. Soc., 133, 15707-15713 (2011)
⇒ 積水化学自然に学ぶ研究事例 第111回「天然脂質に学ぶ高分子ナノ組織体の精密重合」
⇒ JSTさきがけ 加藤隆史 研究総括「分子技術と新機能創出」 杉原伸治(一期生)
「ナノ分子材料を目指した自己組織化高分子の精密直接水系重合」
Langmuir 35, 1346-1356 (2019)
○ 温度,pH,金属に応答する高分子の合成とその応用を行っています。
例えば,本研究室の例として下記の特許があり,工業利用を目指して検討を進めています。
⇒ 金属キレート能を有するモノマー(ポリマー):特許第5088925号
⇒ 温度応答性シェル架橋型ミセル:特許第5246675号
⇒ 温度による薬剤放出性ゲル:特許第3886105号
関連財団様
― (財)実吉奨学会 (H17)
― (財)池谷科学技術振興財団 (H18)
― (財)繊維工業研究会 (H18)
― (財)稲盛財団 (H19)
― (財)近畿地方発明センター (H19)
― (財)小笠原科学技術振興財団 (H19)
― 積水化学自然に学ぶものづくり研究助成プログラム (H23)
― (財)徳山科学技術振興財団 (H29)
― (財)江野科学振興財団 (H29)
関連研究者様(現在&過去)
― 福井大学内の先生方
― Prof. Steven P. Armes (University of Sheffiled)
― Prof. Anthony J. Ryan (University of Sheffiled)
― Prof. Andrew L. Lewis (Biocompatibles)
― JSTさきがけ 領域の皆様
関連企業様(現在&過去)
― 丸善石油化学株式会社
― 日油株式会社
― 株式会社ダイセル
― 東洋紡株式会社
― 株式会社ミツヤ
― 東亜合成株式会社(旧 日本純薬株式会社)
― 大阪有機化学工業株式会社
― A社
― B社
― X社
― Z社