梶田グループでは、数理モデルとデータ解析を使って生命現象を研究しています。研究の内容は研究のページにまとめています。このページでは配属を考えている学生の方に向けて、どんな研究ができるのか、研究室にどう参加するのか、研究で何が身につくのかを説明します。

どんな研究ができるか

卒業研究や修士研究のテーマは大きく二つに分かれます。一つは生命現象を数理モデルで書き、シミュレーションや解析で仕組みを調べる研究です。もう一つは公開されている実験や臨床のデータを解析し、モデルと照らし合わせる研究です。両方を組み合わせることもあります。

最近の学生の研究テーマには次のような分野のものがあります。

  • 遺伝子発現データを用いた疾患や細胞分化の解析
  • 機械学習を用いた生体分子の配列データの解析
  • 組織や細胞の中でのパターン形成の数理モデル
  • 生化学反応や代謝ネットワークの数理モデル

データ解析のテーマでも、データを生み出している生命現象の仕組みや個々の対象によらずに成り立つ規則を見つけることを目指しています。予測も行いますが、仕組みをどこまで理解できているかを確かめる手段の一つと位置づけています。そのためデータがどのような過程で生み出されたのかを重視します。データは生命のシステムそのものの性質だけでなく、測定の方法や正解とされるラベルの付け方によっても変わります。こうした過程を理解したうえで解析し、得られた結果から生命現象について何が分かるのかを考えます。

テーマは学生の関心と研究室で進めている研究とを合わせて、相談しながら決めます。

研究室への参加方法

学部生は工学部 物質・生命化学科の3年後期から、卒研早期配属制度で研究室に参加できます。大学院生は大学院 工学研究科 産業創成工学専攻 生物応用化学コースから参加できます。大学院の受験前に受け入れの可否を教員に相談してください。日本学術振興会特別研究員(学振PD)などの制度を使った研究員としての参加も相談できます。

生物プロセス工学研究室は櫻井グループと梶田グループからなります。どちらのグループで研究するかは、希望と適性を考えて配属後に決めます。研究室全体については研究室のサイトをご覧ください。

研究で身につくこと

授業では、誰かが明らかにして整理した知識を学びます。研究では、まだ分かっていないことを自分で調べて明らかにし、その結果を論文などにまとめて他の人と共有します。この過程で必要になることを、卒業研究や修士研究で身につけてもらいます。

研究は何を解くのかを決めるところから始まります。漠然とした興味から出発し、何が分かっていて何が分かっていないのか、それが分かるとなぜ重要なのかを文献で確かめます。そのうえで、データやモデルで答えられる問いにまとめます。卒業研究では教員と一緒に、修士研究では自分でこの過程を経験します。

問いに答える段階では、結果がどこまで信頼できるかを確かめることを重視しています。例えば、単純な場合の解析解との一致や人工データからのパラメータの復元によって、プログラムの誤りとモデルの誤りを切り分けます。推定値や予測には誤差がどの程度ありうるかも示します。機械学習では評価用のデータの情報が学習に紛れ込んでいないかを確認します。そのうえで得られた結果が問いにどう答えたのか、何が言えて何が言えないのかを整理し、次に何を問うべきかまで考えます。

研究の記録はうまくいかなかった試みも含めて残します。うまくいった条件だけを選んだり結果を見てから問いを変えたりすると、偶然のばらつきが効果のように見えるからです。コードや条件も残し、他の人が同じ手順で同じ結果を得られるようにします。

論文は書き手がその場にいないところで読まれます。読む人は分からないところを書き手に尋ねて補ってもらうことができません。そこで、書かれたものだけで理解し検証できる文章を書く練習をします。主張と根拠を分けて書き、どのような結果が出れば主張が誤りになるのかが分かる形で説明します。引用は原典で確かめます。ゼミでは学年や立場にかかわらず、内容の正しさをもとに意見を交わします。教員の意見が正しいとは限りません。考えが違うときは、根拠を示して議論してください。教員も根拠が示されれば考えを改めます。

これらは研究職に限らず、技術者が根拠に基づいて判断し他の人に説明するときにも必要になる考え方と技術です。あわせてデータ解析や数値計算に必要なプログラミングも身につけてもらいます。

卒業研究では教員と一緒に立てた問いについて文献を読んでデータやモデルで答えを出し、その信頼性を確かめて報告できることを目標にします。修士研究では問いを自分で設定し、結論の範囲と限界まで説明できることを目標にします。

研究室での進め方

研究室ゼミは週1回で、時期によって雑誌会(英語の原著論文を読んで発表する)と週間報告会(研究の進捗を報告する)を切り替えます。中間報告会は年2回(8月と12月)に開き、それまでの研究成果を発表します。

研究に使う知識

研究では生命科学全般と、微積分・微分方程式・線形代数・確率統計・機械学習の基礎知識を使います。研究を進めながら、生物物理学・システム生物学・数理生物学・バイオインフォマティクス・統計力学・力学系理論などの分野の考え方を学びます。プログラミングの経験は問いません。配属前に生物学の科目に加えて基礎的な数学や物理、プログラミング実習を受講していると、研究を始めやすくなります。

卒業生の進路

卒業生の進路は情報通信、製薬、化学・素材、製造、食品、商社、小売、公務・公的機関など、業種が多岐にわたります。職種も研究開発や技術職、システム開発、営業や企画などさまざまです。学部卒業と修士修了とでは進む業種や職種が異なります。

見学・相談

配属を希望される方の見学・相談を受け付けています。連絡先ページからご連絡ください。