4月25日
質問の後の( )内の数字は,類似した質問の総数を示します.(A)に授業担当者の意見,回答などを書きます.
[質問]
1.Ek=p2/2mはどこの所でかかれていますか.(2)
(A)運動エネルギーEkの定義は(1/2)mv2ですね.また,運動量pの定義は,p=mv ですから,容易にEk=p2/2mを導くことができます.これらの関係は,1年生のときの物理学Iで学習しているはずです.もし,これが分かっていないとしたら,2年生の物理化学で出てくる気体分子運動論はもちろんのこと統計熱力学は理解できていないものと思います.
2.極座標のところが理解できませんでした.素体積ってなんですか.(4)
(A)授業中に説明したように,極座標は,通常用いる直角座標(デカルト座標)ではなく,原点からの距離r,z軸からの角度θ,ベクトルrをxy面に射影したときのx軸からの角度φの3つの変数を用いた座標系であり,球対称性を持つ系を取り扱うときに便利な座標系です.素体積(体積要素)や素面積(面積要素)は,1年生の微分積分学I,IIで学習しているはずですので教科書を見直してください.極座標については,もう一度取り扱います.
3.(1)式 と (2)式 はどこから来ているのですか.
(A)授業中に説明したように,1次元の時間によらないシュレディンガー方程式において,ポテンシャルVが位置によらず一定であるとし,とおくと(1)式になります.2回微分すると-k2f(x)となる関数f(x)には,eikxがあり,ドモアブルの定理にしたがって,sin(kx)とcos(kx)で表わすと(2)式になります.簡単な微分方程式の解法や複素関数についても,1年生の微分積分学I,IIおよび2年生の応用数学I,IIで学習済みだと考えて説明しないことがあります.理解できないところは質問して下さい.
[意見]
1.難しい.(3)
2.少しペースが早いです.
(A)これ以上,遅くすると,半年かかっても水素型原子の電子エネルギー準位までたどり着けそうにありません.
大学の授業形式は講義,演習,実習の3つに分類されます.講義は時間割上の1時間(実質は45分)を15回(15時間)行うと1単位に相当します.講義形式の場合は,授業の前後に1時間の予習と復習を行うように学生に義務づけられています.つまり,講義の1単位とは予習1時間,授業1時間,復習1時間の計3時間の勉強を15回(延べ45時間)した場合に与えられるという前提に立っています.通常は1つの講義を2時間(90分)まとめて行いますので,講義形式の授業を前期(15回)に1つ受けて期末試験を受け,合格と判定されると2単位を取得できるわけです.さて,皆さんは,授業の前に2時間の予習,授業を真面目に受けて,授業の後に2時間の復習をしていますか.授業をするほうは,この基準でカリキュラムを考えていますので,授業時間中にだけ教科書を開いて,ノートも取らずに,聞いているだけだと理解できなくて当然です.
3.非常におもしろい授業だと思う.
4.この授業すきです.
(A)ありがとうございます.おもしろいと思うのは「量子力学」そのものがおもしろいからでしょう.アニメーションやビデオ教材なども使うと理解しやすいと思うのですが,現在の教室設備では難しい面があります.黒板に長ったらしい式の誘導を書いて時間稼ぎをすると,授業をするほうは楽ですし,それをノートに書き写すと何だか充実感を感じる学生も多いことと思います.しかし,黒板に書かないというか,書くのももどかしく口頭で説明していることの方が重要であり,それを聞いて,少しでも理解するヒントにしてもらえればありがたいと思っています.式の誘導などは,多くの優れた書籍に詳しく書かれており,授業中には要点の解説に留めたいと思います.
5.黒板に書くのが早いです.
6.黒板に分かりやすくかいてほしい.
7.もうすこしゆっくり書いてほしい.
8.ちょっち文字が小さいっす.見えるけど...
(A)上を参照して下さい.文字は,ゆっくり,大きく書くよう努力したいと思います.
9.いろいろな記号がでてきて,何と読むのかわからないときがあるので口でいうだけでもいいんで,さらっと言って欲しいです.
(A)微分,積分などで見慣れない記号(実は,必修の数学・応用数学で出てきているはず)やギリシャ文字が良く出てくるので気をつけたいと思います.
10.化学の量子的な見方にはとても興味がありますが,教科書を見る限りとても難解です.できるだけわかりやすく教えて頂ければ幸いです.
(A)枝葉末節にこだわって些細な式の誘導で時間をつぶしたり,自分の得意な分野に持ち込んで勝手に面白がったりして,興味を失わせるようなことのないよう,見通しの良い授業にしたいと思います.